適時調査において、最も多額の返還金が発生し、かつ「個別指導」や「監査」への移行リスクが高いのが、入院基本料に関する施設基準(様式9)の不備です。 令和7年5月1日適用の最新の実施要領においても、事前提出書類と当日の確認書類の「突合(突き合わせ)」が強化されています。 本記事では、調査官が現場でどのような視点で「書類の矛盾」を見抜くのか、その手口と対策について弁護士が解説します。
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調査官は「来る前」に矛盾を見抜いている
多くの医療機関は「当日の受け答え」を重視しますが、実は勝負の半分は調査日前に決まっています。
「10日前」提出の罠
実施要領には、調査日の10日前までに「様式9」や「勤務実績表」を提出させると明記されています 。 調査官はこの期間に、提出された「様式9(届出上の勤務時間)」と「勤務実績表(実際のシフト)」を照合し、不整合がないかを事前にチェックしています 。 つまり、当日の調査は、事前に見つけた「矛盾点」の裏取りから始まるのです。
徹底マークされる「3点照合」のポイント
適時調査の現場では、単に書類があるかだけでなく、以下の3つの資料の整合性が徹底的に洗われます。
様式9 vs 勤務実績表
最も基本的なチェックです。様式9で「病棟勤務」として計上されている時間が、勤務実績表(シフト表)と一致しているか確認されます。
注意点
勤務実績表に用いている「記号(日勤、夜勤など)」の定義や、申し送り時間が明確になっているかが問われます 。
勤務実績表 vs 業務日誌・会議記録
ここで多くの施設が指摘を受けます。勤務表上は「病棟勤務」となっていても、実際には委員会や研修に出席していれば、その時間は病棟配置数から除外しなければなりません。 実施要領では、事前に「会議、研修、他部署勤務の時間及び出席者が分かる一覧表」の提出を求めています。
調査官の視点
「この日の〇〇看護師は安全管理委員会に出席していますね。様式9からこの時間は控除されていますか?」とピンポイントで指摘されます。
勤務実績表 vs 病棟管理日誌・看護記録
「病棟管理日誌」も当日の必須準備資料です 。 様式9や勤務表と「同一期間」の日誌がチェックされ、勤務表に名前があるのに日誌に記載がない(またはその逆)といった矛盾がないか確認されます。
「ミス」か「虚偽」か? 監査へ移行する境界線
適時調査で最も恐ろしいのは、調査が中断され、「個別指導」や「監査」へ移行することです。 実施要領には以下の規定があります。
メモ
「調査において、虚偽の届出や届出内容と実態が相違し、不当又は不正が疑われる場合には、調査を中断又は中止し個別指導又は監査の対象とする。」
単なる計算ミスであれば返還金で済みますが、「基準を満たすために意図的に勤務時間を書き換えた(実績と異なる様式9を作成した)」と判断されると、「虚偽の届出」として監査対象となり、最悪の場合は保険医療機関の指定取消(5年間の再指定禁止)に発展します。
重点調査項目:「医療安全」と「感染対策」
入院基本料以外で、近年特に厳しく見られるのが「医療安全管理」と「感染対策」です。 これらは書類の有無だけでなく、「実態」が伴っているかが重視されます。
チェックポイント
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医療安全: 委員会が形骸化していないか、議事録(本年度・前年度分)で確認されます 。また、院内巡回の実績も直近1ヶ月分チェックされます 。
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感染対策: 感染制御チーム(ICT)による巡回(ラウンド)が適切に行われているか、直近2ヶ月分の記録が求められます 。
弁護士による「模擬調査」の重要性
適時調査実施要領には、調査官が確認すべき書類と手順が詳細に記載されています。逆に言えば、これらを事前に読み込み、自院の書類と突き合わせておけば、恐れることはありません。
しかし、日常業務に追われる現場だけで「様式9」と「日誌」「会議記録」の分単位の整合性をチェックするのは困難です。
保険医取消処分解決ナビでは、最新の実施要領に基づいた「模擬調査」を実施し、書類間の矛盾やリスクを事前に洗い出すリーガルサービスを提供しています。「様式9の精度に自信がない」「会議時間の控除が曖昧かもしれない」と不安をお持ちの管理者様は、調査通知が届く前に一度ご相談ください。 03-3527-9247 東日本のお客様からのお問い合わせはこちら 078-381-5115 西日本のお客様からのお問い合わせはこちら info@hokeni-bengo4.com メールでのお問い合わせはこちら オンライン有料相談 SkypeやZoom等での有料相談はこちら
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